不動産の売却価格
売却を考える際に、誰もが一番検討するところが、売却価格になるのではないでしょうか。
しかし、素人判断では、価格の判断が極めて難しいものです。ですから、不動産業者や、専門家に売買価格をある程度決定してもらうというのが現状だと思います。
しかし、不動産価格決定の仕組や指標などを知っておけば、専門家に依頼した後も、任せっきりではなくなりますし、専門家に対しても、自分の要望を明確に話しやすくなります。
まず、不動産価格の基本的な考えかたを知っておく事が重要です。
不動産は名前の通り、動かすことができない財産です。そして、量産されている商品などと異なり、同じものは存在しません。どういうことかというと、家や建物が仮に建売で全く同じものだったとしても、その建物がある場所、環境、方位、土地の形などは異なっています。また、建物だけを取っても、建物の使用状況や管理状況によって価格が大きく変わることもあるのです。このような物件ごとの特徴を「個別性」と呼び、不動産価格は物件の立地環境や、個別性を考慮し、様々な評価を経て算出されるのです。
また不動産は水物と言っても過言ではありません。過去の日本では、土地は値上がりするのが通常であり、価格が下がることはないと考えられていました。その考えた方が、過去のバブル経済の崩壊を招いたわけです。しかし、不動産市場も民主経済の下に置かれています。不動産市場も相場の動きは存在し、価格は日々変動しています。価格が上昇することもあれば、価格が下落することもあります。不動産価格は極めて不安定なものであるということを知っておきましょう。
よって、不動産価格の判断は、取引時期の市場の動向や傾向に応じて検討されるため、その時々によって価格が変動するということを覚えておきましょう。また、不動産価格は売却側と購入側の合意によって価格が決定します。書籍等のように、定価が定められており、それを購入するわけではありません。市場での売買のように、お互いが交渉し、売却側と購入側の希望価格の折り合いをつけます。売却側が何としてでも売りたいと考えていると、大幅な値引きに応じてくれる場合などもあるということです。結局はこの交渉によって価格が決定しますので、価格に関し、情報収集を行い、自分なりの検討も十分に行った上で、納得して取引することが重要となります。
不動産の評価は４つに分かれています。①時価、②公示価格、③相続税路線価、④固定資産税評価額の４つです。私たちが実際に市場で取引する際に使用する価格は時価であり、実勢価格とも言います。上記で述べたように売却側と購入側の合意による価格のことを指します。不動産業者はこの時価を査定するわけですが、どのようにして査定を行っているかを知っておきましょう。
土地やマンションの価格査定には、主に取引事例比較法という方式が用いられています。取引事例比較法は、売買する不動産と類似した、過去の不動産取引事例を参考にし、過去の取引価格と比較することで、売買する不動産の価格を査定するという方法です。一般的に、まずは売買不動産と過去の取引事例とを比較し、類似不動産の取引価格をベースにします。次に、過去の取引事例となる不動産の取引時と比べ市場相場がどのように変動しているかを比較します。市場が上昇しているか、下落しているかを考慮し、価格に時点修正を行います。例えば、過去の取引時点より相場が１０％下落していると判断した場合は、過去の取引事例となった価格から１０％減価をするのです。過去の取引を参考にするため、時点修正は必ず必要となります。
その他にも、地域要因良と言われる、地域の格差によって生じる価格差を考慮します。過去の取引事例の物件の近隣地域と異なる場合はその比較を価格に反映させるのです。地域要因としては、道路の整備状況や交通量、騒音や臭気、住居環境や道路の幅員、行政の健全性等が該当します。
さらには、その不動産の個別的な格差として、接道の有無、接道が南側か北側か、接道する道路が市道か私道あるいは国道か、行き止まり私道か。土地の広さや形、地盤の状況、日照条件、公法上の規制等を過去の取引事例と比較をします。周囲の環境だけでなく、この個別的要因にはデザインなども考慮されます。意外かもしれませんが、デザインに凝った住宅などは、建築費の割には、査定としては、あまり高値はつきません。なぜかというと、一般的ではないからです。一般的ではないものは買い手がつきにくいため、査定額も然り、実際の売買価格も高くはならないのです。
我々は査定の際、現地や役所等に出向いてしっかりと調査をさせていただきます。写真を撮ったり、道幅などを測ったりとなども行います。ご安心して査定をお任せください。
以上のように、不動産の価格は土地の面積や価格だけでなく、様々な要因によって決定されるということがお分かりいただけたでしょうか。実際、不動産の査定を受ける際に、考えていた価格と離れた査定が出ることもあるかもしれません。そのような場合にでも、何が価格に反映するのかをあらかじめ知識として持っていると、納得することもできますし、また、誤った査定や大雑把な査定が行われた際にも、何となくおかしいと感じることもできるでしょう。
一生に１度かもしれない大きな売買となりますので、しっかりと納得をして売却するためには、日々情報収集を行い、自らの知識もしっかりと持つようにしましょう。その上で我々のような専門家がサポートをさせていただければ、価格も適正に、そして、売買もスムーズに行える事は間違いありません。
